鎌倉 円覚寺 帰源院での公演が近づいてきましたので、『門』の解説とアクセスの御案内をいたします。
【解説】
《野中宗助と御米(およね)は崖の下の貸し家でひっそりと暮らしている。家主は酒井という世話好きで社交的な人物。
御米はもとは宗助の友人・安井の妻であった。二人は親兄弟を捨て学業も捨て、2人だけで生きていくことを決心し、各地を転々とする。そのうち宗助の父が亡くなる。東京に戻ってきて、弟の小六(ころく)と同居を始める。》
予習はここまで! あとは、朗読で(*^^)v
悩みを抱えた主人公・宗助は紹介状を持ってこの門をくぐります。『門』は夏目漱石の参禅体験を元に書かれており、お世話になった若い僧(雲水)宜道(ぎどう)は釈宗活、禅の指導をした老師は円覚寺の元管長・釈宗演です。この参禅から今年で130年経ちました。
「一窓庵は山門を這入るや否やすぐ右手の方の高い石段の上にあった。」・・・この石段を上っていくと帰源院(一窓庵)なのですが、ここは通れなくなっています。もう少し先の坂から上がってください。鎌倉石は柔らかいので摩耗しやすく、石段の角が取れていますね。「洞穴」も多いようです。宗助が思い悩んで「崖の下に掘った横穴の中へ入ってじっと動かずにいた。」という場面も想像できます。
この坂を上がると、帰源院の階段が見えてきます!
この階段は急ですので、ご不安な方は右手のスロープからお越しください。
夏目漱石の句碑
「仏性は白き桔梗にこそあらめ」
「丘外れなので、日当の好い、からりとした玄関先を控えて、後の山の懐に暖まっているような位置に冬を凌ぐ気色に見えた。」
この和室には「夏目漱石の手紙」も掲げられています。今にも、「たのむ、たのむ」という宗助の声が聞こえてきそうです。
妙香池は、円覚寺の総門を入って真っ直ぐ歩くと見えてきます。宗助は、老師のところに行く時にここを通りました。「二人はまた寺を空にして連立って出た。山門の通りをほぼ一丁ほど奥へ来ると、左側に蓮池があった。寒い時分だから池の中はただ薄濁りに淀んでいるだけで、少しも清浄な趣はなかったが、向側に見える高い石の崖外れまで、縁に欄干のある座敷が突き出しているところが、文人画にでもありそうな風致を添えた。」初版本通り「蓮池=ハスイケ」と読みます!
わざわざ門が閉まった時の写真を撮ってみました(趣味😆)
「自分は門を開けて貰いに来た。けれども門番は扉の向側にいて、敲いてもついに顔さえ出してくれなかった。ただ、「敲いても駄目だ。独りで開けて入れ」と云う声が聞えただけであった。・・・・彼自身は長く門外に佇立むべき運命をもって生れて来たものらしかった。それは是非もなかった。けれども、どうせ通れない門なら、わざわざそこまで辿りつくのが矛盾であった。彼は後を顧みた。そうして到底また元の路へ引き返す勇気をもたなかった。彼は前を眺めた。前には堅固な扉がいつまでも展望を遮ぎっていた。彼は門を通る人ではなかった。また門を通らないで済む人でもなかった。要するに、彼は門の下に立ち竦んで、日の暮れるのを待つべき不幸な人であった。」
円覚寺は北鎌倉駅の目の前ですが、帰源院に着くまで坂道ですので5~6分かかります。12:30~12:50ならば、お庭のベンチ、または和室で昼食を召し上がっても結構です(ゴミはお持ち帰りください)。お気をつけて~💕
5月31日までに葉月にお申込みください。チケットは郵送いたします。残席僅か!
《葉月のつぶやき》
夏目漱石の作品は三角関係が多いのはご承知の通り。しかも多くの作品が映画化、ドラマ化されています!映画「それから」は主人公の代助が松田優作、三千代が藤谷美和子。これを見ると、もっと楽しめますよ!(白い百合が印象的でした)『門』には、御米が道ならぬ恋に走った具体的な場面がないので、ちょっと物足りないかもしれませんが、そこがまた面白いのかもしれません。想像を膨らませてみてくださいね~(*^。^*)
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